企業を成長に導く人事とは
- Capire(カピーレ) 伊藤亜里沙
- 6月9日
- 読了時間: 5分
「人事って、結局何のためにあるのか?」
多くの企業で人事は、採用業務と労務管理を行い、研修を
設計し、制度を整え、評価を管理する存在として見られがち
ですが、これらはすべて“手段”にすぎません。
私がいま、伝えたいのは――
「人事こそが、企業を成長に導く主役の一人になれる」
ということです。
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1. なぜ「人事」が企業成長のカギを握るのか
成長企業でも、大企業でも、今の経営層が口にする課題は
共通しています。
「思ったより人が育たない」
「採用しても戦力化に時間がかかる」
「マネジメントが弱く、現場の動きに課題がある」
「価値観がバラバラで組織の力が発揮されない」
この“人”や“組織”の壁を超えずに、事業が加速することは
ありません。
だからこそ、経営戦略の実行を「人と組織」で支えるのが
人事の役割。
これが「企業を成長に導く人事」のはじまりです。
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2.「企業を成長に導く人事」の3つの特徴
①経営戦略から逆算して動くことができる
採用も育成も制度設計も、経営戦略と事業戦略の達成を
考慮した設計が必要です。
たとえば、特定事業の売上拡大を狙うなら、人事面に
ついてはどこをどのように整えるとそれが達成できるのか。
「事業の売上拡大は事業部門が頑張ることなので人事は
関係ない」ではなく、人事にもできることがあります。
その鍵を握るものは、採用なのか、人事制度のブラッシュ
アップなのか、育成なのか、オンボーディングなのか。
他の何かなのか。
会社を構造的に見極め、必要な領域にアプローチしていく
ことができる人事は、毎年の経営戦略からの逆算で動く
ことができる人事です。
②人材の“才能×配置”にこだわり、適材適所を実現できる
人材のポテンシャルが発揮される場所へ最適な人材を動かす
能力がある。単なる“処遇管理”ではなく、「人材の可能性
管理」まで踏み込んだ組織開発ができる。
上記は「才能を引き出す」オフェンスの配置ですが、逆に
このままいくと将来危ないので今のうちに○○レイヤーからの
権限移譲を進めよう、部署を分割しておこう、統合しておこう、
といった、「リスク管理の意味合いも持つ」戦略的な配置や
組織設計も求められます。
③時代を捉えることが上手で、採用や就業形態に関する
考え方が柔軟である
時代によって、人材の動き方や働き方は変わります。
探している人材が多くいる場所は今はどこなのか。
フルタイム正社員市場なのか、時短勤務社員市場なのか、
業務委託市場なのか、顧問市場なのか。
これらの知識を持っている、もしくは必要に応じて深堀り
できる人事は、採用を通した組織開発ができる人事です。
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3. 人事が経営者の伴走者になると、会社は面白くなる
経営者と対等に議論し、
人の力で事業の活性化に貢献し、
組織に“熱量”を吹き込む、
そんな人事が、企業に「うちの会社って結構面白いかも」
という雰囲気を作り出し、その積み重ねによって組織風土を
醸成していきます。
それと同時に、経営者には、人事にこれらを求めるダイナ
ミックさや柔軟性、代表としてのビジョン語りといった
「本気」が必要です。
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4. 人事の取り組みを数字で片づけない風土も必要
~ 人事はエンタメに似ている ~
社内外にその取り組みの目的や効果をデータで語る努力は
必要な一方で、「人の感情を通ってから何かが行われていく」
のが人事領域の取り組みであり、そこに、明確な効果を数値で
語ることができないものは多くあります。
例えば、
社員旅行に行った
部署でパワーランチに行った
部署横断の取り組みをした
人事制度を変えた
素敵な社外取締役を採用した
これらの効果を事業や売上に全て紐づけて、
「成功の要因は人事が○○を行ったからである」
と証明できるでしょうか。
事業運営を行っている部門の努力もあってのことなので、数字で
語るのはすごく難しく、効果がわかりにくいからこそ事業面の
取り組みよりも後回しにしてしまったり、予算をつけていなかっ
たり、組織課題が出てきていても見逃してしまったりということが
起こりやすいのが人事です。
私は、「人事ってエンタメに似ているな」とよく思います。
人は、
「この映画を見たらこんな気持ちになります」
「この音楽を聴いたら必ず涙が出ます」
と約束されてエンタメに触れることはなく、
「それがあることで心が満足するから触れる」
ものだと思います。
人事の取り組みが何かを必ず約束するわけではないけれど、確実に、
組織に作用していきます。
だからこそ、
「拙速に数字で語ろうとしない」
「数字で語れない部分もある という認識は必要だと考えています。
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人事は難しい。
それが、私が役員まで経験して感じたことです。
でも、終わりがない楽しさと奥深さもある仕事だと思って
います。
私が運営している戦略人事サロン「人事のひきだし」は、
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