M&Aをやさしく解説 導入編 M&A後に人事面で起きること
- Capire(カピーレ) 伊藤亜里沙

- 10月14日
- 読了時間: 3分
更新日:6 日前
M&A(=合併や買収)は、これからますます増えていくと
思います。
「会社をどう存続させるか」は、多くの経営者にとって
今や身近なテーマになりました。
M&Aを“最終手段”と捉えるか、“新たな選択肢”とするか。
いずれにしても、何が起きるのかを知らずに判断するのは
難しいものです。
そこで、これから少しずつ、M&A後の現場で起きやすい
人と組織のリアルを人事・組織の視点から書いていこうと
思います。
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■M&A動向データ
中小企業庁の2024年6月公表データによると、
経営者の平均年齢は60.5歳(過去最高)。
また、中小企業のM&A件数はこの10年で大きく増加し、
2022年度には
・事業承継・引継ぎ支援センターを通じたM&A:
1,681件
・民間M&A支援機関を通じたM&A:
4,036件
と報告されています。 ※中小企業庁: 「事業承継・M&Aに関する現状分析と今後の取組の方向性について」より
後継者不在や経営者の高齢化に伴い、M&Aは特別なもの
ではなく、企業の成長や存続のための現実的な選択肢と
なりつつあります。
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■M&Aの目的
売り手側の目的で多いもの:
・事業承継や従業員の雇用維持
・業績不振の打開、事業の成長・発展
(企業の成長戦略としてのM&Aも増加)
買い手側の目的で多いもの:
・売上・市場シェア拡大、事業エリア拡大
・経営不振企業や後継者不在企業の救済 など
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■人事デューデリジェンスの現状
M&A前には、通常「事業」「財務」に関する
デューデリジェンス(=調査・評価手続き)が行われます。
デューデリジェンスの目的は、M&Aに伴うリスクを把握し、 買収の可否や、買収価格を適正に判断することにあります。
一方で、「人事デューデリジェンス」まで詳細に行われる
ケースは、まだ多くありません。
時間やコスト、経営者同士の意向などの理由に加え、
売り手側に人事専任者がいない場合も多く、人に関する
情報の把握が十分でないままM&Aが進むことも少なく
ありません。
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■M&A後に起きること
多くの方がまず思い浮かべるのは「人事系の仕組みの統合」や
「仕事で使うツールの統合」だと思います。
確かに、PMI(=統合作業)の中ではこの2つが最も早く
着手されます。
ですが、より難しいのは「人」や「組織」といった
「見えない領域の統合」。
この部分は、実際に経験してみないと想像しづらく、
M&A後に初めて「こうなるのか…」と課題化することが
多いように思います。
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M&Aは、制度やシステムを整えるだけでは完了しません。
実際に業績や組織力に差が出るのは、
「人」と「組織」の統合をどれだけ丁寧に進められるか。
一見、目に見えにくいこの領域こそが、M&Aの成否を分ける
大きなポイントだと思います。
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人事は経営の推進力になり得ます。
人事部分において知っていることが増えると、未来予測や
準備がしやすく、実施時期や、やるやらないの判断がしやすく
なると思います。
M&Aをまだ考えていない経営者の方も、
「将来的には自社がその立場になる日が来るかもしれない」
と感じていらっしゃる場合には、未来の意思決定材料として
活用いただけたら嬉しいです。
