M&Aをやさしく解説② PMIとは何か?
- Capire(カピーレ) 伊藤亜里沙

- 11月18日
- 読了時間: 3分
M&Aは「会社を買うことそのもの」よりも、
「その後にどうするか」がとても大事です。
今回は、「買って一緒に働くことになった後」に行う大切な作業、
PMI(ピーエムアイ)についてわかりやすく説明します。
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■PMIとは、会社同士が“ひとつのチームになる”
ための準備
M&Aは、会社どうしの「結婚」のようなものです。
でも、結婚式より大事なのは、その後の生活ですよね。
生活リズムが違う
お金の使い方が違う
家事の仕方が違う
家具や家電は同じものなら2ついらないものが多い
こうした違いをどうするのか、お互いに歩み寄って調整して
いかないと、毎日の生活はうまく回りません。
会社同士も同じです。
買収が終わった後には、働き方のルール、組織のつくり方、
評価制度、社風、コミュニケーションの仕方、仕事で利用する
ツールなど、たくさんの“違い”をひとつにまとめていく必要が
あります。
この作業全体のことを PMI と呼びます。
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■PMIがうまくいかないと、どんな問題が起きる?
PMIがきちんと行われないと、
新旧のやり方がぶつかる
「どっちのルールに従えばいいの?」と現場が混乱
仕事で使うツールがいつまでも分かれたままで作業効率が低下
大事な社員が辞めてしまう
思っていたほど会社が伸びない
といったことが起こりがちです。
どんなに魅力的な会社と一緒になっても、人が安心して働けて、
生産性の高い状態をつくることができないと、本来の力は
出せません。
PMIは「一緒になってから融合し、お互いの魅力を最大限生かす
ための準備期間」だと考えていただくと、とてもわかりやすいと
思います。
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■PMIは“最初の90日”が勝負
PMIでは、特に一緒になってからの最初の3か月(90日)が
重要です。
この期間に、
今後どんな会社にしていくか(方向性)
誰がキーマンになるか(人選)
どんなルールで動くか(仕事の仕組み)
社員の不安にどう向き合うか(コミュニケーション)
などの“土台づくり”を行います。
家づくりでいえば基礎工事のようなもの。 そしてこの基礎工事は、人事だけでなく、法務、財務、事業の
進め方など、あらゆる土台を整えることが含まれます。
ここがしっかりしていないと、後からいくら立派な建物(仕組み)を
作ろうとしてもグラグラしてしまいます。
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■まとめ:PMIは「一緒になった後の本番」
M&Aは契約を結んだ瞬間がゴールではありません。
本当のスタートは、会社をひとつのチームにしていくPMIからです。
次回は、「なぜPMIは失敗しやすいのか?」という多くの企業が つまずくポイントを解説していきます。
