M&Aをやさしく解説④ PMI成功の鍵は「目指す組織像の再考」
- Capire(カピーレ) 伊藤亜里沙

- 5 日前
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更新日:5 日前
前回までにお伝えした通り、M&Aは「買って終わり」ではなく、
買ったあとに会社をひとつにまとめるPMI(統合)がとても大事
です。
そして、このPMIがうまくいかない要因のひとつが、 “人の部分”に 関するネックで、「本音を伝えあうことと目的の共有が、成功の
秘訣」というお話をさせていただきました。
それは、組織づくりについても同様です。 そこで、今回は「組織づくりのPMI」について考えていきます。 ------------------------------------------------------------------
■ただ“足し算”するだけでは、統合はうまくいかない
M&A直後に多くの企業がやってしまうのが、
✕ 現在の状態を、単純に合体させる
という方法です。
しかし、この“足し算”方式では、
重複する箇所が出る
曖昧な個所が出る
意思決定が遅れる
などの問題が後で表面化することが多くあります。 ------------------------------------------------------------------ ■M&A後は「目指す組織像」を描き直す必要がある M&Aのあとは、2つのスポーツチームが合体するような状態に
なります。
同じ競技でも、チームごとに
戦い方(戦略)
メンバー構成
ポジションの分け方(役割、才能)
練習の方法
大切にしてきた価値観
などが違います。
そのまま一緒に試合に出ようとしても、息が合わないのは当然
です。 「M&Aをやさしく解説② PMIとは何か?」で触れたとおり、
一緒になってからの最初の3か月で行うと良いことが、方向性の
統一。
そもそもの方針が整うことで、詳細が決めやすくなり、組織の 混乱が減ります。
会社に置き換えると、
これからどんな組織にしていきたいのか =戦い方(戦略)
どんなメンバーが多く在籍している組織にしたいのか =メンバー構成
組織図、各部署の役割 =ポジションの分け方(役割、才能)
仕事の進め方 =練習の方法
Value =大切にしていく価値観
こういった項目を一度見つめ直すことになります。
これらが決まれば、
統合すべきもの
辞めるもの
新たに必要なもの
が選別され、前に進む準備ができます。
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■まとめ:
組織づくりのPMIは、「目指す組織像の再考」から
始まる
PMIの成否は、制度の整備だけでは決まりません。
これから一緒に歩む人たちが、どんな組織で、どんな価値観で、 どんな未来をつくっていくのか――その絵を、どれだけ丁寧に 描けるかにかかっています。
M&Aは、単に会社同士がくっつく出来事ではありません。
異なる歴史や文化を持つ人たちが、共に新しい物語を紡ぎ はじめる瞬間です。
だからこそ必要なのは、
「今あるものをどう足し算するか」ではなく、
「どんな未来を創りたいのか」から逆算すること。
目的地が定まったとき、はじめて道が見えます。
地図を手にした組織は、迷わず、強く、速く前へ進んでいけます。
PMIとは、未来への再出発。
その第一歩は、“目指す組織像”をもう一度見つめ直すところから
始まります。
次回は、「M&Aを検討する前にできる人材育成」についてお話 していきます。
