M&Aをやさしく解説③ PMIが失敗する本当の理由
- Capire(カピーレ) 伊藤亜里沙

- 11月20日
- 読了時間: 3分
M&Aのあとに行う「PMI(ピーエムアイ)」は、簡単に言うと “会社同士がひとつのチームになるための統合作業” です。
ところが、このPMIがうまくいかない企業はとても多いんです。
意外かもしれませんが、失敗の理由は専門知識ではなく、
もっとシンプルで人間らしい部分にあります。
今回はその本当の理由を、初めて聞く人でも分かるように まとめました。 ------------------------------------------------------------------ ■失敗原因その1: 本音を伝えず、表面的な会話をしている
PMIで最もよく起きるのがこれです。
本当は困っているのに言わない
自社のやり方の弱点を隠す
弱みを見せたくない気持ちが先に出る
すると、会議には「それっぽい理由」だけが並び、本当に
解決すべきことが置き去りになります。
悪気があるわけではなくても、本音が言えない状態では 物事は前に進みません。 心理的な側面で言うと、本音で語ってくれていない状態を
察知する人は意外に多いもの。
ですが、ビジネスの場では会議の時間枠や会話の頻度が
限られています。
お互いを理解し合う十分な時間は確保できないけれど
決めるべきことがたくさんある状態なのに、本音で語って
もらえないのは、モヤモヤを生み出し、信頼関係の構築に
さらに時間をかけることになってしまいます。
これは家庭でも同じですよね。
本音を言えない関係では、いくら話しても噛み合いません。
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■失敗原因その2:
本質的な課題を突き止めないまま進めてしまう
たとえば、
ツールが使いにくい
ツールの使用方法について共有ができていない
こういう表面の問題だけを見てしまうと、根っこが見えません。
大事なのは、
なぜ使いにくいのか
そもそも必要な仕様が違うのか
ツールの使用方法ではない部分に補足すべき知識があるのか
といった、原因の核心まで掘り下げることです。
ここを適当に済ませてしまうと、どれだけ作業をしても改善 しません。
本質がわからないと、整理も前進もできないのです。
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■失敗原因その3:
PMIの目的を共有せずに、“勝ち負け”で考える
本来、PMIの目的はとてもシンプルです。
それは、「2社が一緒になって、生産性を上げること」。
ところが現場では、
どちらが主導権を握るのか
どちらの文化が“正しい”のか
どちらが“強い”のか
といった “勝ち負けの思考” が前に出てしまうケースがあります。
こうした状態になると、本来目指すべき
働きやすい状態をつくる
一緒に成果を出す
といった目的が、背景に追いやられやすくなるものです。
目的がわかりづらくなることで、結果的にPMIが進みにくくなる 場合があります。
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■まとめ:
本音を伝えあうことと目的の共有が、成功の秘訣
PMIが失敗する理由は、
本音が伝えきれていない
本質にたどり着けていない
目的が共有できていない
力関係や感情で決めようとしてしまう
といった “人の部分” がネックになることがあります。
でも言い換えれば、本音を伝えあい、目的を共有すれば
前に進みやすくなるということでもあります。
会社は家庭と似ていますね。
お互いが素直になって、「本当に大事なこと」を一緒に 見つけていく。
その積み重ねが、組織やチームを強くしていきます。
