業務委託人材と働く前に必要な知識 & 事前に整理しておくと良いこと
- Capire(カピーレ) 伊藤亜里沙
- 15 時間前
- 読了時間: 4分
私は自身が人事側になることも業務委託者側になることも
あるのですが、企業が業務委託人材と一緒に働く前に整理
しておくと安心だと思っていることがいくつかあります。
特に、社員と業務委託人材とでは法律の違いや特性の違いが
大きいので、これらが法令順守やフィーの設計とかなり
関わってきます。
「正社員と業務委託の違いをあまり認識できていないかも
しれない」
「業務委託人材を派遣社員と似たように捉えていた」
と感じた方は今回の記事を読んでいただけたら嬉しいです。
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1.契約形態・指揮命令・法律
業務委託契約は雇用契約ではなく、企業と対等な立場です。
自身で意思決定を行い、仕事の進め方も勤務時間帯も自由な
働き方ですので、業務委託人材に指揮命令を行ったり勤怠を
会社で管理したりと自社の社員の方のように接している状態
はNGで、「偽装請負」という法律違反になってしまうことも。
また、業務委託人材やフリーランス人材に対して不当な接し方
になることがないよう、法改正は頻繁に行われていますので、
企業はこれらに合わせた対応が必要です。
業務委託にも種類があり、法的な注意点はあちこちのサイトに
掲載されていますので、ここではこの説明は割愛させて
いただきますが、企業側で不安な場合には顧問社労士に
相談しながら内容を決めると良いと思います。
2.スキル・特性
・正社員・派遣社員:
様々なスキルの人が存在し、新入社員から雇用型の役員まで
あらゆる特性の人材がいます。会社と関わる時間が長く、
基本的には階層に関わらず長期的に育成が必要です。
・業務委託人材:
1.で触れたように、業務を自身で遂行しますし、会社に育成
してもらえる立場ではないので、常に学び続けている人が多い
です。
特定領域の即戦力人材やスペシャリストが多いので、企業内に
ないノウハウを持った人と一緒に働いてその方から学びたい時や、
育成している時間がなく、業務を切り出してハイレベルで業務
遂行してもらいたい時に特にお薦めです。
3.業務委託者のフィーはどうしたら良いか
社員と異なり、社会保険料が自己負担なので、正社員よりも高く
設定する必要があります。
考慮点は以下です。
【考慮点】
①この業務を社員に直すとどの階層レベルの仕事なのか
②その階層の年収レンジはいくらか
③専門領域で市場に該当人材が少ない場合には、知識の希少性を
考慮し、社員より高い年収の想定をしておく
①~③を踏まえた上で、社会保険の自己負担分を上乗せして
フィーを設計します。
【月間フィーの算出目安】
年間想定フィーを社員年収の1.3~1.4倍に設定
(1.4倍になるのはハイレイヤー)
↓
それを契約予定の稼働工数で割る
業務託者側は、企業が提示しているフィーと業務レベルの
バランスを見てエントリーするか否かを決めることが多いので、
フィーが相場と合致しているかも確認が必要です。
4.一緒に働くと決めたら、関係部署と一緒に行うこと
【関係部署と一緒に行うこと】
①1.~3.で挙げた社員との違いや、4でリストアップした事項を
一緒に働く部署のメンバーに共有
②業務委託人材と一緒に働く目的の決定
・何のために一緒に働くのか
・社員に依頼しない理由は何か
③この仕事案件のゴールの決定
・何が達成できたら契約終了なのか
・逆に長期ずっと一緒に働くなら何を期待するか
人事だけが法律や注意点を知っていて他の部署の人たちが
知らない、となると、悪気なく法律違反の接し方になって
しまう可能性があるので、ここは人事がハンドリングして
きちんとコミュニケーションを取ってからスタートしたい
ところです。
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トラブルなく、お互いに気持ちよく働けるように、自身が
人事側になった時には一つずつきちんと確認しながら
進めるようにしていて、業務委託者としては、コンスタントに
社外CxO紹介をしている企業と話し、自身の適正フィーの
把握に努めています。
この動きは、知人の会社から直接仕事をいただく場合にも
役立っています。
間にいるエージェントさんも、契約企業に対してフィーの
考え方や法律に関する注意喚起をしていたりしている会社も
出てきているので、企業、エージェント、働く人、それぞれが
適切な知識を持って関わることができると良いなと思って
います。