M&Aの前に必要な人材育成のはなし① 先に育成力を見直す必要がある
- 2025年12月2日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年12月3日
会社の経営には、いずれ引き継ぎのタイミングが訪れます。
ところが実際には、その直前になって初めて「後継者がいない」
という問題に気づく会社が少なくありません。
しかし、後継者不足による倒産は、きちんと準備をしていれば
防げる可能性があります。
では、なぜ多くの会社で後継者がいない状態になってしまうの
でしょうか。
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■なぜ「後継ぎがいない問題」は気づくのが遅くなるのか?
後継者育成というテーマは、会社だけでなく社長本人の人生に
深くかかわるため、社員からは触れにくいものです。
そのため、社長が自分から話題にしない限り、このテーマは
議題に上がらない傾向があります。
その結果、本来であれば長い時間をかけて育てておくべき
人材の話が進まず、
「そろそろ交代したいのに、次がいない」という状態が、
引き継ぎ直前になって突然表面化してしまうのだと思います。
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■経営者になるには、長い時間が必要
会社を背負っていく「経営者候補」を育てるには、7〜10年
ほどの期間が必要です。
なぜなら、経営者に求められる力は、短期間では身につかない
からです。
例えば、
会社全体を経営的に見渡す力
進めること、やめることを判断する力
事業、お金、人、情報を最適に配分する力
自分で動くべき領域と、人に任せる領域の判断力
といった能力です。
こうした力は、すぐに育つものではなく、鍛えていった先に
やっと成熟するからです。
ところが現実には、
幹部候補が決まっていない
幹部候補を育てる計画がない
社長自身も後継者の話を先送りにしてしまう
ということが多く、結果として、幹部を育てる準備が
整わないまま年月を重ねてしまいがちです。
その結果、「適任者がいない」のではなく、
「育てる仕組みが整っていなかったために、今いないように
見えてしまう」場合も少なくありません。
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■外から経営者を連れてくるのは、とても難しい
では、「外から経営者を呼んでくれば早いのでは?」と
思われるかもしれません。
しかし実際には、外部から経営者を迎えることは難しいです。
なぜなら、経営者は自分の会社を持っている人が多いため、
他社に転じる人材が非常に少ないからです。
そのため、外部から経営幹部を招く場合は、現役の役員クラスを
中途採用で探すことになりますが、その人に問題がなくても、
社内の歴史をまだ知らない
社員との関係がゼロからスタートする
会社の文化に慣れるまでに時間がかかる
といった理由から、ハレーション(摩擦)が起こりやすいという
問題があります。
M&Aで会社を買った場合も同じで、外部のリーダーが組織に
なじむまでに数年かかるのは珍しくありません。
だからこそ、後継者を外から採るルートと、内から育てる
ルートの「両方」を持っておくと建設的です。
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■10年かけて育成するのが理想的
① 内から育てるルート(社内人材の育成)
会社の未来を担う人材を、社内で育てるルートです。
10年スパンの長期目線で取り組んでいきます。
どんな経験を積んでもらうか
どのように視座を上げてもらうか
どの段階で抜擢するか
など、会社ごとに設計が大きく変わるため、ここを早いうち
から整えることが重要です。
② 外から採るルート(社外からの抜擢)
経営幹部を中途採用などで迎え入れるルートです。
ただし、外から人を迎える場合は、社内の受け入れ体制に
よって成功率が大きく変わります。
受け入れ体制とは、具体的には、
新しい人をすぐに「仲間」として受け入れる文化
社内説明を含めた、短期・中長期の育成プラン
などです。
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■まとめ
後継者不足にならないためには、将来に向けて2つのルートを
事前に用意しておくことが理想です。
もちろん、そのためには、当事者となる社員や幹部への
事前の誠実な説明も欠かせません。
こうした準備こそが、社長の引退間際になって慌てることを 防ぎ、会社の未来を守るための大切な一歩につながるのだと 思います。
