M&Aの前に必要な人材育成のはなし② M&A前に人事人材を育てることが成功の鍵
- 2025年12月10日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年12月13日
経営者のみなさんは、もしかしたら、 「買う側と買われる側では立場が違うのだから、 抱える課題も全く別だろう」 と考えるかもしれません。 ですが、実際には、両者に共通する課題は存在します。
それは、「買収しただけでは事業は育たない」という
現実です。
買う側も、買われる側も、ここを見落としたままM&Aに 進んでしまうと、大きな歪みが生まれます。 ------------------------------------------------------------------ ■親会社の盲点: 人事体制を整えないまま、買収だけが先行してしまう M&Aを決断するのは経営陣です。 事業存続・拡大、シナジー創出など、買う理由は明確に あります。
ですが、その裏で
人事の人数が不足している
育成・配置・評価を設計できる専門人材が少ない
PMIを実務レベルで支えられる人材がほとんどいない
という企業は珍しくありません。
本来、買収後には人を育て、組織を立て直す実務部隊が
必要ですが、その体制が整わないままM&Aだけが先に
進むケースが多いのです。
特に親会社側の人事体制が弱い場合、子会社に対して
方向性の指示
相談への対応
まではできても、
事業を成長させるレベルで伴走し、人材育成基盤を整える
支援までは手が回らないという状況が生まれがちです。
さらに、子会社も同様に人事体制が十分ではないケースが
多く、育成・評価・配置の仕組みを自力で再構築することが
難しい場合があります。
M&A後の対応は専門的な領域であり、そもそもその知見を
持つ人事が市場に多く存在しているわけではありません。
結果として起きてしまうのが、「買いっぱなし」の状態です。
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■子会社の盲点:
「買収されれば何とかなるのでは」という期待
買収される企業には、以下のような期待が生まれがちです。
グループに入れば、経営基盤が整うかもしれない
必要なときに親会社に助けてもらえるかもしれない
しかし、先に述べたように、親会社に十分な人員体制や
ノウハウがなければ、期待していた支援は受けられません。
買収されることが、人材育成・組織改善を保証するわけでは
ありません。
そのため、M&Aに応じる前には、人事面でどの程度の支援が 期待できるのか、どの領域まで関与してもらえるのかを、 事前にすり合わせておくと建設的です。
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■買収前に決めておくべき「経営への関与度」
M&Aでは財務・事業・法務の検討は丁寧に行われますが、
「親会社がどこまで経営に関与するのか」が明確にされない
まま進むケースは少なくありません。
成長戦略を考えるうえで重要なため、以下の点について
事前に合意しておく必要があります。
親会社の経営への関与度合い、関与領域
親会社の経営スタイルに統一するのか、自律性を残すのか
実務支援まで行うのか、それとも方向性だけ示すのか
こうした線引きが曖昧なままM&Aが進むと、親会社も子会社も
「どこまでやればいいのか」がわからず、PMIが前に進まない
状態に陥ります。
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■M&Aを成功させる秘訣:
人事人材の育成
ここまでお伝えしてきたように、親会社・子会社の双方で 人事体制が整っていない場合、買収後に“買いっぱなし”の状態に
なってしまうリスクがあります。
どれほど魅力的な事業を持つ企業であっても、その価値を未来に
つなげていくのはそこで働く人です。
そして、人が安心して力を発揮し、新しい環境の中でも成長して
いけるよう支える役割を持つのが、人事の存在です。
だからこそ、M&Aを前向きに進めるのであれば、買う側・ 買われる側のどちらであっても、まずは人を育てられる人事 人材を育てておくことが大切です。
この領域を外注する場合には、そのための予算確保も必要に
なってきます。
人事が仕組みを整え、その企業らしい組織づくりを支えられる 状態が整ってはじめて、M&A後の統合も、事業としての成長も、 ゆるやかに前へ進んでいきます。
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■まとめ
M&Aを前向きに進めるためには、次の点をおさえることが
大切です。
親会社・子会社の人事機能の実態
親会社の支援体制
親会社の経営への関与度と関与領域
これらは、どれも「人が力を発揮できる環境」を整えるための
基盤です。
M&Aは企業同士が一緒になる出来事ですが、未来をつくるのは、
「買収という行為そのもの」ではなく、
「人を育て、組織を未来へ導く力」。
それを担える人材を社内に育てていくことこそが、これからの
企業にとって最も大切な「投資」なのかもしれません。
