「キングダム」っていうマンガを読んでいたらふと書きたくなりました。
30~31歳の頃に出会った方々や上司の話です。
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リーマンショック後、私が派遣社員として就業していた投資顧問が経営破たん。
総務をしていた時期は、こういった不思議な強制終了が続きました。
その後の転職活動で内定した会社へ行く未来にピンとこなかった私は、
念のためアルバイトを探し、富裕層向けのフィットネスクラブで募集していた
受付のお仕事に採用が決まりました。
30代前半でアルバイトというのはなかなかチャレンジングだなと思いましたが、
私の直感は「ここへ行きなさい」と強く言っていました。
当時は、派遣での就業に関する色々なニュースが飛び交っていた時期だったので、
両親も「直接雇用だし良いんじゃない?」と珍しく背中を押す。
私は、時々、神様はチェスをすると思っています。
きっとここに何かがある。
理由は後からわかるだろう。
私の心は決まりました。
入ってから知ったのですが、このフィットネスクラブのマネージャーは、
面白い研修をたくさんしてくださる方で、スティーブ・ジョブズ氏の
スタンフォード大学でのスピーチの動画を見せてくれたり、
「リッツ・カールトンにはいざっていう時に上長に断りを入れずに目の前の
お客様にとって最良だと考えるサービスを提供して良いっていう制度があるんだ」
といった話を聞かせてくださったり。
私は研修の日が好きでした。
そんな日々の中、ある男性の入会手続きを担当することに。
手続きの最後には、このクラブの規則をお伝えしなければいけません。
いつものように、「入会いただく皆様にお伺いしているのですが、カラダの
どこかにタトゥーは入れていらっしゃいませんか?」と尋ねると、
初めての、「あ、入れてます」というお答え。
手首にオシャレタトゥーが入っているのを見せてくださいました。
でも、ご職業は健全なもの。とても礼儀正しい印象のお客様。
会社には「タトゥーが入ったお客様は入会をお断りしなければならない」
という規則がありました。
このクラブの会員さんの中には、細やかな方もいらっしゃる。
他の会員さんに知られてしまった場合の影響を考えると、この方だけ特別に
というのは良くないかな…と考え、私は会社の決まりに従って入会を
お断りすることに。
書類を持ってオフィスに戻ると、マネージャーから
「さっきのお客様は入会しなかったの?」と聞かれました。
事情を話したら、そばにいた社員さんは、
「仕方ないよね。良い判断だったと思うよ。私もその立場だったら
お断りする。」と言ってくれましたが、
マネージャーは、
「お客様にはリストバンドを使ってお風呂やサウナでも隠していただく
ようにお願いして、万が一周りの方に知られてしまったらその時に
怒られれば良かったのに。」と仰いました。
どちらも正解に思えるけれど、なぜタトゥーを禁止しているのか、
そのルールが存在している理由を考えると、マネージャーの考えのほうが
柔軟でお客様にとっても良かったんじゃないかなって気がしてしまいました。
「その判断ややり方もありなのか~」っていう場面を目にすることが多く、
「この人たちのやり方や目線に追いつこう」と思ったフィットネスクラブ。
個人事業主の方との出会いも多くあり、その中の一人からご紹介いただいた
美容サロンの社長に誘われ、私は次にその方と仕事をすることになる。
私の心や人生に、新しい風が吹いた場所でした。